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文学部  /
人間研究学域

 ツイナシ   セイイチ   (男)
 對梨    成一   助教
 Seiichi   TSUINASHI

■兼務所属(本学内)
衣笠総合研究機構   /
人間科学研究所
■出身大学院・出身大学他
1991/03  東海大学  教養学部  生活学科  卒業
2001/03  明星大学  人文学部  心理教育学科通信教育部  中退
2008/03  立命館大学大学院  文学研究科  心理学専攻  博士課程  修了
■取得学位
博士(文学) (2008/03 立命館大学)  
■所属学会
日本心理学会  
関西心理学会  
交通科学研究会  
日本基礎心理学会  
■研究テーマ
坂道の傾斜知覚の研究
■研究概要
縦断勾配知覚は坂道の周囲視環境の縦断勾配が上りのとき下り,下りのときその逆に見え,側壁縞は格子が最も効果的,横縞は縦縞よりも効果的であり,幅員は狭いとより下り,視点は高いと上り,単眼視は両眼視よりも上り,遠坂は末広,平行,先細の形の順に上りに見えた。横断勾配知覚は歪んだ階段は斜面より小さく,段数は多いとき,斜面と階段は見下すとき,斜面と階段は視点の高さが低いときより傾斜して見えた。

 傾斜は建築・土木学では勾配とよび,縦断勾配と横断勾配がある。

①道路の縦断勾配知覚について  
実験1では,実験室全体が観察者の床とは独立して傾斜(-8゚から8゚)させた。その結果,部屋が上りのとき下り,下りのときその逆に見えた,床の傾斜は効果がなかった。実験2では,側壁に描かれた水平付近の縞が±30゚の範囲で傾けられ,側壁の高さも変化させた。その結果,側壁の縞が±10゚のとき最大であったが,側壁の高さは効果がなかった。実験3では,水平と垂直からそれぞれ±10゚傾斜した横縞と縦縞を組み合わせた6つの側壁の縞が用いられた。その結果,格子が最も効果があり,また横縞は縦縞よりも効果があった。ミステリー坂(ゆるやかな上りの近坂と急な上りの遠坂で構成され,そのうちの上りの近坂は下り坂に見える縦断勾配錯視)の縮小模型を用いて4実験が行われた。実験4では,狭い幅の道路は広い幅の道路よりも下りに見えたが,道路のガードレールは効果がなかった。実験5では,3種類の側壁に描かれた縞(拡散,平行,収束)が近坂にそれぞれ設置され,視野の大きさも検討された。その結果,側壁があるとそれがないよりも近坂を下りに見せたが,視野の大きさは効果がなかった。実験6では,道路の縦断勾配に平行な3側壁(近坂のみ,遠坂のみ,近坂と遠坂)が用いられ,視野の白濁も検討された。その結果,近坂は側壁があるとより下りに見えたが,視野の白濁は効果がなかった。実験7では,視点の高さについて検討された。その結果,視点が高いと上りに見えた。実験8では,3坂をもつ模型が用いられた。そのうちの最も遠方にある遠坂は3形(先細,平行,末広)に交換することができ,観察方法(単眼と両眼視),近坂の提示あるいは非提示,遠坂の形(先細,平行,末広)について検討され,遠坂を奥行き方向に水平に調整させた傾斜が測定された。その結果,単眼視は両眼視よりも遠坂を上りに見えた。遠坂の形は,末広の道路が最も上り坂に見え,次いで平行の道路,先細の道路が最も下り坂に見えた。単眼視のとき,近坂があるとそれがないよりも遠坂は上りに見えた。

②横に傾いた面と歪んだ階段錯視の横断勾配知覚について  
実験1では,道路と階段の12模型が用いられ,面特性(きめのない面,きめのある斜面,階段),斜面の長さ(短いと長い)あるいは段数(少ないと多い),列(道路の長軸に階段の段鼻が直交するあるいは斜交する)が検討された。その結果,階段は斜面よりも見えず,段数の多い階段は段数の少ない階段よりも見えた。
実験2では,実験1のうちの6模型が用いられ,縦断勾配(15゚,29゚,58゚;横断勾配一定),面特性(きめのない面,階段),観察方向(見上げ,見下し)が検討された。その結果,斜面あるいは階段の縦断勾配が大きくなるほど,小さく傾斜して見えた,斜面と階段は上から見下すとき下から見上げるときよりも傾斜して見えた,歪んだ階段(水平な踏面が横に傾いて見える階段)の見かけの傾斜は斜面よりも小さかった。実験3では,視点の高さを低くして実験2をくり返した結果,斜面と階段は視点の高さが低いとより傾斜して見えた。
■研究キーワード
道路の縦断勾配の錯視,おばけ坂,階段の横断勾配の錯視,歪んだ階段錯視,坂道錯視,面の傾斜知覚,交通渋滞,カーブ事故,サグ,クレスト,空間知覚,実験心理学,視覚心理学,知覚心理学 
■研究業績一覧  (上位3件までを表示します。一覧表示では、公開対象の全件を表示します。)

著書
立命館大学文学部人文学研究叢書2 坂道の傾斜知覚の研究  風間書房  2013/03
ワークショップ大学生活の心理学  荒木浩子、小城英子、小高恵、須河内貢、駿地眞由美、田中秀明、對梨成一、永野浩二、橋本尚子、東正訓*、東真由美、馬場天信、広沢俊宗、藤本忠明*、三川俊樹  ナカニシヤ出版  39-51  2009/03  9784779503283
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論文
坂道の縦断勾配錯視の研究  對梨成一・北岡明佳  心理学評論  55/ 3, 400-409  2012/12
光点刺激の観察による釘打ち動作と道具の知覚  山崎校・東山篤規・對梨成一・村上嵩至  心理学研究  81, 453-461  2010
縦断勾配錯視―周囲視環境と床の傾斜効果―  對梨成一  心理学研究  79/ 2, 125-133  2008/06
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研究発表等
坂道の見かけの縦断勾配に及ぼす双眼鏡の効果―虚像とその網膜像による仮説―  立命館大学認知科学研究センター9月研究会  2018/09/27
教育人間学に適した知覚心理学研究について  第10回教育人間学会  2016/11/26
鏡映世界の距離と奥行き:反射材の効果  関西心理学会  2016/11/03
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その他研究活動
ニュートンもびっくり!?東そのぎの摩訶不思議スポット  番組「イブニング長崎 突撃!気になる現場 ニュートンもびっくり!?東そのぎの摩訶不思議スポット」  2019/03/28-2019/03/28
下の写真はどのように見えますか?、坂道の錯覚  シンク出版株式会社 「錯視・錯覚に注意して事故を防ごう」  2016/05/01-2016/05/01
坂道錯視  藤江じゅん(作)、ヨシタケシンスケ(絵) 「サッカク探偵団2 おばけ坂の神かくし」  KADOKAWA  2015/12/20-2015/12/20
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科学研究費助成事業
科学研究費助成事業データベースへのリンク

受賞学術賞
日本心理学会  平成21年度日本心理学会優秀論文賞  2009/09
日本心理学会  平成18年度日本心理学会優秀論文賞  2006/09
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■教育業績一覧  (上位3件までを表示します。一覧表示では、公開対象の全件を表示します)

担当授業科目
2017  教育人間学研究法Ⅱ(L)  実験・実習・実技
2017  教育人間学実習Ⅰ  実験・実習・実技
2017  教育人間学研究法Ⅱ(LA)  実験・実習・実技
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教育活動
授業の最後に必ず感想を提出させ次回の授業に活用している。  2016/04-
歪んだ階段錯視模型を用いた錯視現象の実証、個人差の確認、体験学習。  2016/04-
錯視、図工教育、心身相関、芸術の教育のための「歪んだ階段錯視」と関連する紙模型の作製と活用  2015/07-
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■研究者からのメッセージ
坂道の傾斜知覚の研究の基礎的な意義と応用的な意義について
 ①研究の基礎的な意義について  
 坂道の傾斜知覚を研究するために「おばけ坂」などの錯視をとりあげている。その理由は,錯視とは客観的世界と視覚的世界とのくいちがいが顕著にあらわれる貴重な現象であり,縦断勾配錯視や横断勾配錯視が,坂道の傾斜知覚の要因(客観的要因と説明的要因)を探るのに有効な手がかりとなるからである。
 また,特に,坂道の見かけの縦断勾配の研究は距離,大きさ,形の知覚と関連しており,これらとの関係についても明らかにしたい。

②研究の応用的な意義について 
 上述の坂道の傾斜知覚についての基礎研究の成果によってさまざまな応用が考えられる。例えば,渋滞対策やアミューズメントパークの錯視効果の強化である。
 渋滞対策では,特に,サグでの上りの近坂では,ドライバーが下り坂と錯覚(縦断勾配錯視)してアクセルを弱めてしまうために交通渋滞が生じているといわれる。これにより発生する渋滞対策は,この縦断勾配錯視を打ち消し,さらに坂道を上り坂に見せるようにする縦断勾配錯視を生じさせれば,ドライバーはアクセルを強めて,交通渋滞が緩和されると予想される。
 アミューズメントパークの錯視効果の強化では,縦断勾配錯視あるいは横断勾配錯視についての錯視展やアミューズメントパークでの錯視効果の強化が可能となる。錯視には個人差があり,一般的に錯視効果が大きいとされるものでも,人によっては,その効果が小さい,あるいはほとんど錯視が生じない。錯視効果の強化によって,その効果が小さかった人には効果が大きくなり,その効果がほとんどない人には錯視を体験することができるようになり,より大勢の人がその錯視を体験できるようにすることができる。また,錯視の科学的な説明を示すことで,ものごとの科学的・客観的視点が養われる。
■研究分野(ReaD&Researchmap分類)
実験心理学