日本語
The Kinugasa Research Organization

 (Female)
 Miki   KAWABATA  Senior Researcher

■Concurrent affiliation
The Kinugasa Research Organization   /
Institute of Human Sciences
■Graduate school/University/other
03/2003  Ritsumeikan University  Department of Literature  Graduated
09/2011  Ritsumeikan University  Graduate School of Core Ethics and Frontier Sciences  Doctoral course  Completed
■Academic degrees
Ph.D (09/2011 Ritsumeikan University)  
■Career history
04/01/2012-03/31/2013  Ritsumeikan University Center for Ars-vivendi Postdoctral Fellow
04/01/2013-03/31/2016  Japan Society for the Promotion of Science Postdoctral
04/01/2016-  立命館大学産業社会学部授業担当講師
07/01/2016-  立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員
■Academic society memberships
Japan Association for Bioethics  
The Japanese Association for Philosophical and Ethical Researches in Medicine  
Japanese Society Historical Studies of Social Welfare  
日本医学史学会  
■Licenses and qualifications
教員免許(高等学校)  (2003)   
■Subject of research
The Beginning of Nationality for Cleanliness in Modern Japan; Public Bath and “Kokumin-Doutokuron”
■Research summary
本研究では、近代日本における清潔さをめぐる国民性の創出を明らかにする。具体的には身体をめぐる清潔さと道徳に関する(精神的)清潔さに関する言説から解きほぐそうとするものである。身体の清潔さと道徳に関する(精神的)清潔さについての分析を通して、一般民衆への清潔規範の浸透過程を詳らかに立体的に記述する。

  明治後期から教育学者、倫理学者、国文学者らは「潔白」という言葉を用い、心身の清潔である状態を説明するようになっていた。武道や武士道に関する文献でも使われており、その言葉の正確な意味と言葉そのものがどのような背景で使用されているのか検討する。芳賀矢一は『国民性十論』(1908年)のなかで古事記をひきながら、日本では古来、禊など清める風習があったことを述べ、日本では入浴習慣が根付いていることから日本人の国民性に「清潔」が備わっていると説明した。芳賀が『国民性十論』に「清浄潔白」を挙げるに至った思想的源流について(1)で得た結果に鑑みながら、加えてドイツからの影響も含めて考察する。また芳賀以降の教育者、倫理学者、国文学者がどのような背景や意味で「潔白」という言葉を用いていたのか整理し、近代以前からの思想の変容について検討する。
 国文学の成立と相関するように、「潔白」という語を広めたもののひとつに「国民道徳論」がある。国民道徳論は明治後期から文科省主導で提唱された。これは1890年の教育勅語をいかに機能させるか説いたものでもあり、「国家統合の精神的紐帯となる国民道徳の創出」を目指すものであった。国民道徳論の端緒は井上哲次郎による『国民道徳概論』(1912年)であるが、ただし教育勅語の後、突然に国民道徳論が現れたのではなく、その嚆矢は西村茂樹の「日本道徳論」(1887年)とも言われている。大正期から昭和期にかけては、教育者や倫理学者によって「国民道徳論」が展開され、国民道徳論に関する文献が多数出版されるに至った。国民道徳論においては国民性の特徴についても説明されていることが多いが、そのひとつに「潔白」が挙げられていくようになる。井上の学統を受ける深作安文の『国民道徳要義』(1916年)や、倫理学者の三浦藤作の『国民道徳要領講義』(1925年)などには、ともに国民性の第一に「潔白」を挙げている。とりわけ、三浦は潔白を説明する際に、身体的潔白さの例に日本の入浴習慣を挙げ、精神的潔白さの例として、武士が不浄の汚名を受けた際に切腹して潔白さを示すことを挙げている。国民道徳論で展開された「潔白」は明確に身体と精神とを結びつけるものである。これが戦時下での自死を選択するなどの死生観につながっていったという仮説をたて、検証する。
■Research keywords
History of Medicine 
■Research activities   (Even top three results are displayed. In View details, all results for public presentation are displayed.)

Papers
「清潔さは信心に次ぐ美徳」という理念――被差別部落と公衆浴場運動  川端美季  部落解放  741, 76-83  05/2017
Public Bath Movementと近代日本の公設浴場設立――身体観・道徳観に注目して  川端美季  生命倫理  25/ 1, 133-140  09/2015
明治・大正期における公衆浴場をめぐる言説の変容――衛生・社会事業の観点から  川端美季  立命館人間科学研究  21, 119-132  07/2010
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Research presentations
The Public Bath Movements in the West and Japan  Symposium on the History of Science, Technology  01/05/2017
Public Bath Movementと近代日本の公設浴場設立――身体観・道徳観に注目して  日本生命倫理学会第28回年次大会 若手奨励賞受賞者を囲んで  12/04/2016
The Legal Treatment of Mental Health Patients in Public Places in Modern Japan  International Congress on Law and Mental Health  07/16/2015
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Grants-in-Aid for Scientific Research (KAKENHI)
Link to Grants-in-Aid for Scientific Research -KAKENHI-

Academic awards
日本生命倫理学会  2015年度若手論文奨励賞受賞  2016
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■Teaching experience   (Even top three results are displayed. In View details, all results for public presentation are displayed.)

Courses taught
2017  Life and Death Education  Lecture
2017  Bioethics  Lecture
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■Message from researcher
日本の公衆浴場と海外のPublic Bath Movement――国民性の創出と国民道徳論
 日本人は古くから入浴を好む清潔な民族・国民であるということがよく言われます。このような考え方はいつ、どのように生まれ広まったのでしょうか。江戸期、身体と精神の安定を図り、病から身を守ることを説いた養生書が一般的によく読まれました。養生書のなかで重視されたのは体内の「気」の流れであり、入浴を頻繁にすることや熱い湯につかることは「気」を消耗させるものと見なされていました。明治期の初めも、医師や衛生行政を担当する官僚などの言説では、しばらく「気」の流れが重視されていましたが、1897(明治30)年頃から、大きく変化していきます。
1897年に、入浴が良い習慣であり日本には古くから入浴習慣がある、比べてヨーロッパでは日常的に入浴することが稀であるということが、医師や衛生の専門家たちが刊行していた『大日本私立衛生会雑誌』の中で紹介されました。その中で、ヨーロッパでは公衆衛生の発達とともに浴場が設置されているということもあわせて紹介されています。このような記事は、その後も『大日本私立衛生会雑誌』に掲載されました。これらの記事により、ヨーロッパから入浴は衛生上必要であるという認識がもたらされ、入浴習慣を古くから持っている「日本人」は「清潔好き」であるという言説が現れるようになったのです。
 このように、一見、日本独自と思われる認識も、海外との比較で生まれてきたことが分かります。私たちの生活の根底にある自覚しにくい規範を考えることが、過去だけではなく、未来についても考えることにつながっていると思い、日々、研究を進めています。
■E-mail
  
■Research keywords(on a multiple-choice system)
Sociology/History of science and technology