研究者学術情報データベース

（最終更新日 : 2025-10-31 16:12:31）　

マツナガ　コウヘイ
松永　光平
MATSUNAGA KOHEI

所属文学部地域研究学域

職名准教授

その他所属
1.	文学研究科

学歴
1.	～2001/03	慶應義塾大学環境情報学部環境情報学科卒業学士（環境情報学）
2.	～2003/03	東京大学新領域創成科学研究科環境学専攻修士課程修士（環境学）
3.	～2008/09	東京大学新領域創成科学研究科自然環境学専攻博士後期課程修了博士（環境学）

職歴
1.	2007/04/01 ～ 2009/03/31	立命館大学文学部実習助手
2.	2009/04/01 ～ 2012/03/31	人間文化研究機構地域研究推進センター研究員
3.	2009/04/01 ～ 2012/03/31	総合地球環境学研究所中国環境問題研究拠点拠点研究員
4.	2012/04/01 ～ 2015/03/31	慶應義塾大学大学院政策メディア研究科Global Environmental Systems Leadersコース特任講師
5.	2015/04/01	立命館大学文学部准教授

委員会・協会等
1.	2014/04	日本地理学会交流専門委員会委員
2.	2015/10	人文地理学会企画委員
3.	2024/04	日本地理学会資格専門委員会

所属学会
1.		Commission on Land Use and Land Cover Change, International Geographical Union
2.	2020/09	∟ Member of the Steering Committee
3.		Commission on Land Degradation and Desertification, International Geographical Union
4.		Association for East Asian Environmental History
5.		日本地理学会
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研究テーマ
1.	地理学史
2.	砂漠化

研究概要
砂漠化春先に日本に飛んでくる黄砂。この黄砂の出所、中国の黄河中流域、黄土高原で、黄砂が飛ぶようになった歴史的背景と、現在の黄砂対策のあり方について研究してきました。黄土高原は、かつては緑豊かな土地でしたが、ドイツ人地理学者リヒトホーフェンが克明に描いているように、19世紀末には、見渡す限り段々畑がひろがり、砂埃の舞う、荒涼とした大地となっていました。この黄色い大地を、再び緑色に塗り替えるため、20世紀末以降、大規模な植林が進められています。この緑化の成功が、黄砂の飛来を防ぐ。そう信じて、現在は、経済・社会・環境の三つの観点から、緑化がうまくいくための道を探っています。

現在の専門分野
地理学、環境史、自然地理学、環境地理学 (キーワード：環境問題（とくに砂漠化）、災害、アジア、中国、地理学史)

著書
1.	2023/01	砂漠化地理学事典 │ ,510-511頁
2.	2020/01	砂漠化現代地政学事典 │ ,70-71頁
3.	2017/08	第4章　中国農業の環境・資源制約――政策・技術的対応の到達点と課題WTO体制下の中国農業・農村問題 │ ,143-164頁
4.	2013/12	第11章　農林業政策からみた中国社会の持続可能性アジアの持続可能な発展に向けて―環境・経済・社会の視点から（慶應義塾大学東アジア研究所叢書） │ ,213-230頁
5.	2013/07	中国の水土流失―史的展開と現代の転換点（現代中国地域研究叢書）
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論文
1.	2025/09	日本の地理学界におけるロシア研究の到達点と課題―1950年代以降の人文系の成果― │ 立命館文学 │ 694,111-128頁
2.	2025/09	日本の地理学分野における立命館の地震災害研究とその特徴 │ 立命館文学 │ 694,87-98頁
3.	2021/10	自然地理学の学習方法を歴史にみる │ 科学 │ 91 (10),991-993頁
4.	2021/03	2010年における京都盆地の気候の特徴 │ 立命館文学 │ 672,966-952頁
5.	2020/03	地域資源をいかした持続可能なコミュニティ構築のための都市・農村間連携―中国貴州省の少数民族地域における2017年・2018年調査から │ 近畿大学総合社会学部紀要 │ 8 (2),39-69頁
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学会発表
1.	2024/09/15	φύσις と natura の意味に基づく自然地理学と自然の地理学の関係の再考（口頭発表，一般）
2.	2016/12/18	中国華南地域における海水面上昇と対策―江門市を事例として（口頭発表，一般）
3.	2016/10/30	黄土高原・大同調査（7月）報告（口頭発表，一般）
4.	2015/12/20	広州市海珠区新洲村調査報告（口頭発表，一般）
5.	2015/12/06	中国の乾燥域における生業転換と環境変化（ポスター）
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科学研究費助成事業
1.	2017/04 ～ 2022/03	日本と中国の地域資源をいかした都市・農村間連携モデルと持続可能コミュニティの創出 │ 基盤研究(C)
2.	2015/04 ～ 2018/03	中国華南の地域構造の再編に関する地理学的調査研究 │ 基盤研究(B)
3.	2012/04 ～ 2016/03	ポスト「退耕還林」における中国農村の未来可能性 │ 若手研究(B)
4.	2009/08 ～ 2011/03	ポスト「退耕還林」における水土流失危険度の総合的評価 │ 研究活動スタート支援

研究高度化推進制度
1.	2018/04 2018/09	研究支援制度分類：学外研究制度種目：- 中国山西省大同市の時系列衛星画像の比較による森林被覆変化抽出

授業科目
1.	リモートセンシング学
2.	環境地理学
3.	基礎講読Ⅱ
4.	自然地理学概論
5.	自然地理学研究
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教育活動

●その他教育活動上特記すべき事項

1.	2015/07 ～ 2015/07	高校等の模擬講義：追手門学院　模擬講義　環境地理学

研究者からのメッセージ
1.	地理学を学んでみよう：彼から我へ地理学の対象は世界に広がります。研究を通じ、文献を調べ、可能ならば足を運ぶことによって、現地の人々の悩みが他人事から自分事になります。物理的に、あるいは心理的に遠い地にいる「彼」が、「我」の一部のようになるのです。世界の人々が抱える問題を発見し、解決方法をともに考える地理学を、一緒に学んでみませんか。
2.	幅広く学んでみよう：日本も東洋も西洋も私は、小学生のとき、水木しげるの大ファンで妖怪を中心とする日本的なものを追い求めていました。ところが中公マンガ中国の歴史『水滸伝の豪傑たち』をきっかけに中国にはまり、中学生の頃は、平凡社の中国古典文学全集を部分的に読んだりしていました。高校では小学生の頃の関心に立ち返り、日本的なものの源流としてインド思想関係の本を渉猟しました。中村元『インド思想史』が印象に残っています。校長が言語学者で課外語学講座がやたら充実していたので、サンスクリット語を土田龍太郎先生に、（インドの影響も強く受けている）タイ語を上原みどりこ先生に教わりました。大学では中学生の時の関心を深めるべく、中国語を第一外国語として選択し、日中学生会議というインターカレッジサークルに青春のひと時を捧げました。ポスドクまで中国ひとすじで、ほぼ毎年のように中国に渡航しました。ところが立命館に奉職させていただいてから、学外研究でアメリカに滞在する機会があり、日本近代化の源流である、欧米に目が開かれました。もっと早く視野を広げるべきだったと後悔しました。その後だいぶたってから、中公世界の名著シリーズをときどき買い求めては西洋の諸思想に学ぶようになりました（このシリーズは、解説や付録の対談そのものもすばらしいです）。　現段階での私の結論は、日本か東洋（財団法人東洋文庫、平凡社東洋文庫、岩波講座東洋思想などにのっとり、ここでは中国だけでなくインドやイスラーム世界も含むと考えます）か西洋か、ではなく、日本も東洋も西洋も大事だ、ということです。繰り返しになりますが、地理学の対象は世界に広がります。立命館の文学部には日本、東洋、西洋それぞれの専門家が数多くいらっしゃいます。立命館の文学部で地理学を学ぶみなさんが、若いうちに幅広く知識を吸収してくださることを願っております。「世界」という言葉は、宇宙時代の今日では、地球全体ばかりでなく宇宙をも指していると考えられます。教養の地球科学や宇宙科学の履修も役立つかもわかりません。
3.	おすすめの本・ホームページ読書法：　加藤周一『読書術』、岩波同時代ライブラリー。　立命館ともつながりの深い加藤先生が多様な読書法を公開してくださっています。情報リテラシー：　野崎昭弘『詭弁論理学（初版）』、中公新書。　技術の進展により情報の入手が簡単になっていますがウソとマコトを見分けることが重要です。この本はウソの種類と対策について教えてくれます。この本の記述の真偽を判断することもまた読者の手に委ねられています。また人間は機械でないのでウソを見分けても、暖かく受け止めることが必要な時もあるかもしれません。換言すれば、罪を憎んで人を憎まず、相手の全存在を肯定することも大事と思われます。私たちソクラテスのように賢くなれたらいいですけど、それ以上に、人を愛する人になれることを願います。立命館地理: 　地理学専攻の学問と人々　https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/record/15617/files/chr_14_tanioka.pdf 　谷岡武雄先生による、立命館地理草創期から発展期の回想録です。自然地理学：　ラインズほか『自然地理学の基礎』、古今書院。　コンパクトで便利な本です。漢字について: 　百孫朝鮮語学談義　http://www.han-lab.gr.jp/~kanno/cgi-bin/hr.cgi?autobio/x4-langencode.html 　先に東洋について触れましたが、歴史的遺産の一つ、漢字については様々な立場があります。立命館文学部で教鞭をとられた白川静先生は旧字体を重視しておられました。上のホームページは漢字利用の継続を支持しているようです。私の中国語・韓国語・ベトナム語学習経験からはうなづける内容です。漢字があることによりこれらの言語への親近感がグッと増すのです。　西洋ではラテン語が今もなお重要でしょう。私たちの多くは英語を義務教育で学び、習得のため苦労するかと思います（私もまだ苦労しています）。しかし、1000年以上使われ続けた西洋の国際語ラテン語を勉強すると、英語、ひいてはほかのヨーロッパ諸語が相対化され、気楽につきあえるようになります（私の場合もそうなのですが、身に着けられるかどうかは別です…）。英語の本場イギリスでも、フランス語や古典ギリシア語とあわせてラテン語が教養の一つになっているのではないかと思います。　日本では古文の果たす役割が大きいのではないでしょうか。水谷嘉之『漢字でわかる韓国語入門』(祥伝社ノン・ブック)という本によると日本語の旧仮名遣いと韓国語の読みとの間にも一定の関係があるようです。たとえば観光は新仮名遣いだとカンコウですが、旧仮名遣いだとクワンクワウになり、韓国語の読みクワンクワングに似てくるのです。なお、中国語読みもクワンクワングです。私たちはこれまで、自分たちの発音に仮名遣いを合わせてきましたが、逆に、旧仮名遣いに自分たちの発音を合わせることで見えてくるものもあるのではないでしょうか。ただ、私はかつて自分がサンスクリット語やタイ語、アムハラ語などの文字を習得できなかった経験などから、ひらがな、カタカナ、漢字を持つ日本語は外国人にとって難しいだろうと考えてもいます。旧仮名遣いの音を導入しつつ日本語をローマ字化し、漢字を併用するのも一つの選択肢だと思います。ローマ字でなくてハングルの話ですが、たとえば菅野裕臣『朝鮮語の入門(初版)』(白水社)の読み物が基本的にハングルだけど漢字も併記されていて、外国人の私にも分かりやすくなっています。こんなイメージです。　なお、私は漢字、ラテン文字やギリシア文字など日本の学校で教わるものを除いて(梵字は教わらなかったです)外国語の文字をおぼえるのが苦手です。しかし、先述の水谷さんの本は、だれでもハングルのロジックを理解できるよう工夫がこらされていました。さらに、チョ・ヒチョル先生の『ヒチョル式1日でハングルが書けるようになる本』（Gakken）という練習帳と合わせて利用することにより、ハングルをおぼえられました。ロシアについて: 　An Introduction to Russian 　https://langintro.com/rintro/ 　日本の隣国の言語のうち、英語、中国語、韓国語の人気があるのは何よりと思いますが、私たちはロシアの言葉をもっと学び、現地の人々と理解し合ったり、仲良くなれたらよいのではないでしょうか。上のウェブサイトは、ロシア語の入門となるキリル文字を、苦手意識のある私にも楽しく学習させてくれました。英語圏でこんなによいロシア語の教材が開発されていることに啓発されます。作者が推薦している本も古いけど価値あるものばかりと思われます。