サッサ ミツアキ
佐々 充昭
SASSA Mitsuaki
所属 文学部 東アジア研究学域
職名 教授
言語種別 日本語
研究概要 植民地期朝鮮における宗教研究

朝鮮近代におけるナショナリズムの発生について考えるには、「宗教」の問題は避けて通れない重要なテーマです。朝鮮王朝の前近代的な世界観を脱皮して、近代的な意味での「国民国家」を形成するためには、当時の人々にとって絶対的コスモロジーとして機能した「儒教」を一つの「宗教」として相対化する作業が必要であり、その過程の背景には、西洋から流入した近代的な「宗教(religion)」概念の伝播と近代学問として成立した「宗教学」の受容が存在しました。また、朝鮮時代末期から日本の植民地時代にかけて、朝鮮では数多くの新宗教が登場しました。それらは、儒教・仏教・道教・巫俗・民間信仰などの民衆的伝統文化を土台としながらも、欧米や日本から流入した教団型「宗教」の影響も少なからず受けました。また、それらの新宗教教団の活動を通じて、「伝統の創造」としての新たな朝鮮民族固有のアイデンティティが創出されていきました。日本の植民地支配という特殊な時代状況の中で、特に「宗教」および「宗教学」と関連する西洋の近代思想が、朝鮮土着の伝統思想とどのように相克・融合し合いながら朝鮮近代におけるナショナリズムを形成していったのか、その過程について研究しています。

【研究テーマ(1)概要】
東学(天道教)・甑山教・檀君教(大倧教)・円仏教など、朝鮮時代末期から日本植民統治期に登場した朝鮮新宗教教団の活動、および、朝鮮近代における「宗教」概念の流入と宗教学の成立が朝鮮ナショナル・アイデンティティ形成に及ぼした影響に関する研究。

【研究テーマ(2)概要】
1909年1月に朝鮮の愛国志士羅喆によって創設された檀君教(1910年に大倧教と教団名を改称)の創教・発展・分裂・統合の過程と、檀君系教団が解放前後期の朝鮮近代ナショナリズム(特に右派民族主義言説)に与えた影響に関する研究。

【研究テーマ(3)概要】
戊戌政変後に日本に亡命した清末知識人である梁啓超の言論活動を通じて、西洋文化の衝撃のもとに遂行された日本の近代的「国民国家」形成の在り方が朝鮮の愛国啓蒙運動に流入し、朝鮮の近代的ナショナリズムを勃興させた過程に関する研究。

【研究テーマ(4)概要】
1980年代以降、韓国経済の発展にともなう個人主義的消費文化の発生によって、欧米や日本でニューエイジ・新霊性運動と呼ばれる運動が韓国でも流行した。その中で、国仙道や丹ワールド(もと丹学仙院)など丹田呼吸普及団体の動向に関する研究。

【研究テーマ(5)概要】
グローバル化とナショナリズムの相補性の観点から「韓流」ブームを分析し、現代韓国映画の個々の作品の中に、韓国近現代史の特質がどのような戦略的手法をもって表現されているのか解析する研究。