ホソガイ ケンジ
細貝 健司
HOSOGAI Kenji
所属 経済学部 経済学科
職名 教授
言語種別 日本語
タイトル 全体性の思想の未来
メッセージ 私は近著の最後に、バタイユの理論に忠実に言うならば、「個」が孤立から抜け出すことが、「全体」へと繋がることになると書きました。ただし、それは、スピリチュアルな連帯ではなく、絶えざるコミュニケーションの場を指します。そこでは、「個」と「個」の、あるいは「個」と「環境」の間で絶えずコミュニケーションが行われ、それにより、個と環境の全体が連関して系を生み出し、それとともに全てが絶えず更新されます。そのような場をバタイユは「全体」と呼ぶのです。
さて、私たちが生きている現代は、「グローバリゼーション」の名の許に、世界的価値の一元化が推し進められています。それは、まさしく経済システムという唯一の系への帰属であり、それにより、「個」と「個」、「個」と「環境」の間の距離と、さらには、「個」のアイデンティティを保証する壁を取り去ってしまうことです。このような状況にあって、バタイユの提示する「全体」の思想とは、物質的な価値の一元化に対して、人間の本質的な(実存的な)個別性を称揚し、それにより、社会の本質的な姿を回帰させようとする試みと読み解くことができます。
この思想の中の希求を掬い取り、それを人間の未来へと繋げること、それを念願し、私は研究を続けています。