KITAZAWA SOICHIRO
Department / Course College of Pharmaceutical Sciences Department of Pharmacy
Title / Position Assistant Professor
言語種別 日本語
研究概要 Thr/SerキナーゼであるPINK1及びParkinの機能不全は、異常ミトコンドリアを蓄積し、パーキンソン病を発病する。Ubiquitin (UB)は、PINK1により、S65にリン酸化修飾を受ける。リン酸化UB(pUB)とParkinのリン酸化UB様ドメイン(pUBL)は、E3リガーゼであるParkinを活性化させ、ミトコンドリアの品質管理に関わる (Iguchi et al. JBC 2013, Koyano et al. Nature 2014) 。興味深いことにリン酸化模倣変異体S65D・S65Eは、PINK1をバイパスし、Parkinを活性化する (Koyano et al. Nature 2014)。 pUB-Parkin複合体の結晶構造は、自己阻害活性を有するRING0ドメインが外れ、Parkinの活性中心であるC431が露出する (Wauer et al. Nature 2015) 。これはKoyanoらのParkin活性化機構モデルを支持し、pUB-Parkinの相互作用機構解明に注目が集まっている。
興味深いことに、pUBはふたつのconformationがおよそ7:3で存在し、構造的に揺らいでいる (Wauer et al. EMBO 2015, Fig. 1) 。X線結晶構造解析により、pUBのMajor構造は非リン酸化UBとほぼ同一である。一方、Minor状態の原子座標は、化学シフト値解析・水素結合ペアの解析などにより、b5-strandとb1-strand・b3-strand間の水素結合パターンが2残基分スライドする。
これらのb-strandは、UB表面に疎水性パッチを形成し、多数のタンパク質と相互作用する活性中心である。そのため、分子間相互作用やpoly-UBへ影響すると予測される。興味深いのはpUB-Parkin複合体のpUBの構造はMajor構造とほぼ同一である点だ。これから単純なタンパク質-タンパク質相互作用モデルである”鍵と鍵穴モデル”で考えるなら、構造変化を伴うMinor状態は、複合体形成を阻害すると予測され、機能的存在意義に合理性が欠ける。UBの構造揺らぎとpUB-Parkinの相互作用機構を明らかとすることは、ミトコンドリアの品質管理によるパーキンソン病抑制機構の解明につながると期待される。

 UBは幅広い時間スケールの構造揺らぎが発見されている。それらとpoly-UB化やATP依存的なタンパク質分解などの機能発現機構との関連性は不明な点が多い。PINK1によるUBのリン酸化修飾とpUBがParkinを活性化する機構の発見は、単にパーキンソン病発病機構の解明だけではなく、改めてUBの構造揺らぎと機能相関研究に注目が集まるきっかけとなった。
応募者の行う高圧力NMR法は、数パーセントの僅かな存在確率しかない状態でも、conformation平衡を大きく変化させ、一原子分解能で測定できる強力な手法である。そのため存在確率が小さいpUBのMinor状態やリン酸化模倣変異体のconformation研究に適している。
 リン酸化模倣変異体のMinor状態が発見されれば、Parkinの分子認識機構において、Minor状態の重要性が示唆される。さらにParkinによるpoly-UB鎖形成をpUBとリン酸化模倣変異体で比較することによりその機能的意義を明らかにする。