チョウ ケンイチロウ
長 憲一郎
CHO KENICHIRO
所属 理工学部 機械工学科
職名 講師
言語種別 日本語
研究概要 非線形動力学モデルの構築とその工学的応用

本研究はカオスガスタービンとそのタービン運動方程式に関する研究を基に行う.
1963年にLorenzによって発見された乱流熱対流モデルであるLorenz方程式に支配されて不規則に反転運動を繰り返すカオス水車は,MalkusとHowardによって1970年代に考案された.このカオス水車の機構をガスタービン上で実現したものがカオスガスタービンである.カオスガスタービンの回転運動を支配する運動方程式を導出し,Lorenz方程式との関連を明らかにするために,運動方程式の無次元化を遂行した.カオスガスタービンの回転状態を動画として記録し,画像解析を行い,運動方程式の数値解との比較を行ったところ,運動方程式はタービンロータのカオス的運動を再現することが確認された.さらに,無次元化された運動方程式は,タービンロータの無次元角速度を表す変数を中心ノードとして共有しつつ,多数のLorenz方程式が星型に結合されたネットワーク型動力学モデルに相当することが発見された.これを拡張Lorenz方程式と呼ぶ.
拡張Lorenz方程式の工学的応用として,カオス時系列を擬似乱数として利用して通信文の暗号化を行うカオス暗号に関する研究を行っている.拡張Lorenz方程式を特徴付ける整数対角行列を実数領域に拡張することによって,実用的な時間内で同定することが不可能ほど大規模な組み合わせ総数を有する暗号鍵を実現し,実用上one-time pad型暗号として利用可能な暗号システムの構成方法を提案した。従来のカオス暗号の弱点である暗号鍵交換は,本暗号システムでは,量子物理学に基づいて絶対的安全性が保障される量子鍵配送を利用して行われる.量子暗号はone-time pad型暗号として期待されているが,暗号鍵配送に長時間を要するという深刻な弱点がある.本研究によるカオス暗号はこの弱点を解決する.拡張Lorenz方程式に従って動作するシステム間のカオス同期を利用した盗聴者による暗号鍵推定は,本暗合システムでは実行不可能であることが理論的に証明された.
 このように,非線形動力学モデルを構築し,それを工学的に応用する研究を行っている.