ナカムラ シンゴ
中村 真悟
NAKAMURA SHINGO
所属 経営学部 経営学科
職名 准教授
言語種別 日本語
研究概要 製造業のグローバル展開に伴う素材産業の産業技術の動向ならびに静脈産業との技術統合に関する研究

 1990年代以降、世界的規模での生産活動のグローバル化が進展し、製造業の国際分業が進展した。こうした動きは日系企業においても現れ、従来の「フルセット型産業構造」が変容し、さらに日本の産業技術競争力の基盤とされてきた重層構造のサプライヤーシステムにも変化が生じてきているとされる。
 以上の研究を中心に、既存研究ではすでにグローバル化と日本の作業技術競争力の変容に関する実証研究がすすられている。一方で、これらの研究はその多くが素形材産業(機械工業)ならびに資本財産業(工作機械、金型産業など)に焦点が当てられており、対して加工対象を供給する素材産業の実証研究は乏しく、とりわけ化学産業に関する研究蓄積は僅少である。
 昨今、化学産業は「産業の化学化」といわれ、日本の化学産業の電子材料における世界シェアの高さ・収益性の高さに着目する議論が出てきている。しかし、これらの議論では「化学産業における技術力とは何か」、「なぜ日本の化学産業が高い技術力を有しているのか」といった技術力の内容および成立過程の分析が不十分であり、とりわけ一般的に規模の生産性が競争力の決定的要因とされてきた化学産業において、「技術」がどのように関わるのかという問題が整理されていない。この背景には、化学産業における研究開発と製造プロセスの区別がないまま分析されていること、また石油化学工業と今日の電子材料を中心とする「機能性化学工業」の技術的な区別が不十分であることに起因している。
 また、日本の自動車産業の競争力の源泉にはアッセンブラーとサプライヤーの長期緊密な関係があるとされ、今日でも変容はしつつもその基本的な形態は維持されているのに対し、情報家電産業においては日本では素材・部品・組立の三者の関係が分離しており、結果的に日本の液晶事業の競争劣位を生み出す結果となっている。この対照的な事態の分析として、製品特性に着目したアーキテクチャ論や「デジタル化」「モジュール化」をキーワードとした議論がなされているが、産業技術や産業特性の観点から素材産業自体の技術競争力や経営戦略に着目した議論は少ない。
 以上のことを踏まえ、本研究では日本の化学産業を中心に、素材産業の産業技術競争力の分析を行う。さらに、今日のグローバルな生産・消費構造は従来の生産・消費・廃棄・リサイクルの構造に大きく影響を与えた。そうした自体を踏まえて、動脈産業と静脈産業の循環構造の構築における課題、またいわゆるリサイクル企業といわれる循環型素材産業が持続する諸条件(技術、経営など)を分析する。