コレエダ アキトシ
是枝 聡肇
KOREEDA AKITOSHI
所属 理工学部 物理科学科
職名 教授
言語種別 日本語
研究概要 【レーザーを駆使した高精度な分光測定を通して,物質内部のさまざまな励起状態に関してそのエネルギーや寿命などの精密な情報を取得し,物性物理学においてこれまでに未解決な種々の問題に挑む】

物性物理学の実験的研究ではさまざまなプローブ・測定手法が用いられます.その中でもレーザー分光法は,非常に高い周波数精度(=長い時間振動が消えない光)や非常に短いパルス(=一瞬だけ輝く光)が実現され,いわば「永遠から刹那まで」をも探索できるダイナミックな実験手法であると言えます.その一方で空間的には,光の波長は物質の構造の単位よりはずっと長く,試料のマクロな大きさよりはずっと短いので,結晶構造解析や電極を付けるような巨視的測定ではカバーできない中間的なスケールの物性を探索できる手法としても位置づけられます.

当研究室ではレーザーを駆使した高精度な分光測定を通して,物質内部のさまざまな励起状態に関してそのエネルギーや寿命などの精密な情報を取得し,物性物理学においてこれまでに未解決な種々の問題に挑んでいきます.さらに,単に「観測すること」を超えて,レーザー光を用いて積極的に物質内部に特異な励起状態を創り出し,その励起状態を光で自由自在にコントロールする可能性をも探っていきます.このような光による物質状態の制御は,エネルギー輸送や通信といった,将来のさまざまな応用につながる重要な基礎を与えるものとなります.

当研究室で2013年度以降に予定している主な研究課題には以下のようなものが含まれます:
・温度(エントロピー)の波動をレーザーで創り出し,制御する
・結晶内部の超音波(フォノン)やスピン波(マグノン)の超高精度レーザー分光
・巨大な応答を示す規則正しい結晶の物性を複雑系の考え方で理解する
・構造が不規則な物質(ガラス形成物質)における極低温物性の分光学的研究
・超短パルスレーザーを用いた超高速分光による励起状態の超高速緩和の観測
・超高精度/超高速レーザー分光システムを新たに立ち上げる etc.

研究対象とする物質としては,不揮発性メモリーや超小型コンデンサーの材料となる「強誘電体」の関連物質,結晶とは違って規則的な構造を持たないガラス形成物質,磁気メモリーの材料である「強磁性体」の関連物質,強誘電体と強磁性体の両方の性質をもつ「マルチフェロイック物質」,スピン波がエネルギー輸送を担う「スピントロニクス物質」,量子ゆらぎが特異な物性を導く「量子固体・量子液体」(特に凝縮系水素)などが含まれます.これらの物質群では従来の常識では説明できない様々な新しい物性が見つかっていますが,その本質の理解にはより精度の高い測定と新しい物理的視点が望まれているのです.