ヒラノ テツロウ
平野 哲郎
HIRANO TETSURO
所属 法務研究科(法科大学院)
職名 教授
言語種別 日本語
研究概要 1 医師の民事責任の位置づけ
2 要件事実論

1 医療過誤があった場合の民事上の責任についてはまず不法行為構成によるのが,日本をはじめとする多くの法域で一般的です。契約構成(債務不履行構成)もなくはありませんが,いずれの構成でも大きな差はないと考えられています。しかし,多くの医療行為は医師・医療機関と患者の診療契約に基づいて行われており,契約によって医療水準に適合した医療を提供することを約したにもかかわらず,水準に満たない医療行為がなされた場合には,契約違反になるはずです。見ず知らずの他人同士の間の権利侵害行為の場合よりも重い注意義務が契約当事者間では発生するのではないか,ということを考えています。
また診療契約上の期待権の侵害や機会喪失論という損害論にも,法律構成が影響を与えるのではないかとも考えられます。
2 要件事実論では長い間,主張責任と証明責任の所在は一致するという見解が通説的地位を占めてきました。しかし,両責任は異なる原理によって認められるもので,その所在が一致する必然性はなく,むしろ一致させることによって不自然・技巧的な訴訟運営を招く場面があると思われます。そこで,両責任を分離させる立場からの理論構成を考えています。