ショウダ ハルカ
正田 悠
SHODA HARUKA
所属 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科
職名 助教
言語種別 日本語
研究概要 音楽演奏から人間のコミュニケーションの起源を探る

「音楽は感情の言語である」とよく言われます。演奏者は,楽譜をたんねんに解釈して,作曲者がその曲に込めたメッセージを読み解きます。楽譜の上に記された情報は,演奏者の身体や楽器を使って音へと表現され,聴き手に伝達されます。1990年代以降の研究によって,「楽しい」「悲しい」といった基本情動と呼ばれる感情を演奏者が表現仕分けることができ,聴き手もそうした微妙な表現の違いを感じ取ることができることが知られるようになってきました。私の研究では,音楽によって伝達される感情はそうした単一の形容詞で表されるものに限らず「全体には悲しい雰囲気だが明るさが表現されている」「力強さの中にも弱さが表現されている」等,より複雑で多次元的なものであると考え,こうした多次元的な感情が音楽演奏を通して伝達されるかを調べてきました。また,こうした多次元的な感情の伝達が「演奏者と聴取者がともに同じ環境にいる」生演奏場面において促進されるのかどうか(実は促進されないことがわかりました),演奏者は聴衆を目の前にしたときにより「うまく」演奏できるのかどうか(うまく演奏できるときもあれば下手になることもあります),聴き手の無意識的な身体の動きが生演奏ではより動くようになるのか(実は動きが小さくなることがわかりました)等,音楽演奏におけるコミュニケーションの様々な側面を調べてきました。予想と同じような結果が得られることもあれば,全く逆の結果になることもありますが,それもこの研究の醍醐味です。
 最近では,超高齢社会と呼ばれる日本において,高齢者の健康がコーラスや合奏によって促進されるのかどうか,という研究や,スマートフォン等で過去のどの時代よりも気軽に音楽が聴けるような現代において,音楽という存在が大学生の“依存”を導いてしまうメカニズムを調べる研究も行っています。また,他大学の先生とともに,Lego(R)ブロックによる城製作課題,辞儀を伴う挨拶,顔と声による感情の伝達,ラジオ対話,家具の組立課題等,共同作業場面・対人場面における身体的インタラクション・コミュニケーション過程を共同で調べてきました。動作解析や生理計測技術の厳密かつ精緻な計測から,個人の動きに含まれるダイナミクスや集団でのインタラクションを可視化する技術について研究を進めています。