SOEDA SHUHEI
Department / Course College of Pharmaceutical Sciences Department of Pharmacy
Title / Position Assistant Professor
言語種別 日本語
研究概要 Prader Willi症候群の発症メカニズム解明

ヒトNecdin遺伝子は、染色体15q11-12に存在するが、Prader-Willi症候群の患者さんではその領域を欠損している。Prader-Willi症候群の症状として低身長、軽度知能障害、抹消感覚障害、肥満等があげられる。Necdinは、神経細胞の細胞死制御や細胞分化に関与していることが示唆されている。Necdinは、MAGEファミリーに属しており、植物から高等生物まで幅広い種で保存されているが下等生物では1種類のみである。近年、酵母においてSmc5-Smc6複合体中のNse3が単一のMAGE遺伝子であることが明らかとなった。The structural maintenance of chromosome (SMC) タンパクは、 姉妹染色体の会合、染色体凝縮、DNA修復において役割を果たす。Smc5-Smc6複合体中では、Nse1、Nse3、Nse4がサブ複合体を形成していることは以前からわかっており、複合体としてDNA修復において役割を果たすことがわかってきた。しかし、個々のタンパクの役割はわかっていなかった。Nse4は、EIDファミリーに属し、転写活性を抑制することで細胞分化に関与していることが報告されている。また、Nse1にはUbiquitin ligaseに似たRING finger構造が存在することはわかっているが機能はわかっていなかった。Nse3も単独での機能は特にわかっていない。さらに最近、本研究室で着目しているのは、Sirtuinsというタンパクである。注目した理由は、Necdinは、このSirt1と結合し、視床下部におけるエネルギー代謝調節に関与する転写因子Foxo1のアセチル化レベルを変化させることによって機能調節を行っていることが知られているからである。哺乳類ではSirtuins として7種類(Sirt1-Sirt7)知られ、さまざまな転写因子、エネルギーホメオスタシス酵素などのアセチル化レベルを下げることによってエネルギー代謝、DNA修復、細胞生存を調節し、寿命にも関係している。研究室ではPrader-Willi症候群に関係する遺伝子の機能について細胞性粘菌を用いて解析している。Sir2は酵母で見つかったNAD依存性ヒストン脱アセチル化酵素である。細胞性粘菌にはSir2A-Sir2Eの5種類が発現している。Sir2CとマウスSirt1のアミノ酸のcatalytic domain内では40.6%が一致していた。Sir2DとSirt1のアミノ酸のcatalytic domain内においても49.8%が一致していた。このことから、細胞性粘菌内の唯一のMAGEファミリーであるNse3とSir2も何か相互作用している可能性があると考え、Sir2A,C,Dの解析を行っている。具体的には、Sir2Cのノックアウト細胞の作製、Sir2AのcDNA cloneを取得してから安定発現株を作成し解析に用いる。
ゆくゆくは、Prader-Willi症候群の患者さんのiPS細胞を神経幹細胞、神経組織に分化させて細胞性粘菌から得た知見を応用できるかを検討する。そうすることによって、Prader-Willi症候群の患者さんの神経系での発症メカニズムの解明と治療応用への糸口となり得ると考えている。