スズキ タカシ
鈴木 崇志
SUZUKI TAKASHI
所属 文学部 人間研究学域
職名 准教授
言語種別 日本語
タイトル 近くて遠い「他者」への現象学的アプローチ
メッセージ 私は、ドイツの哲学者エトムント・フッサール(1859–1938)を主な研究対象にしています。フッサールは、自分自身の意識を出発点にして、そこから自分と世界の関係を説明するための哲学上の方法論を創始し、それを「現象学」と名づけました。
 特に私が関心をもっているのは、このフッサールの現象学における「他者」の問題です。フッサールによれば、私の意識は、そのなかで私にとっての世界が現れる場所のようなものです。ただし他者の意識は、そのままの仕方で現れることがなく、他者の身体や言葉を通して初めて現れます。それらを受け取るという経験について、フッサールは、「志向性」「感情移入」「表現」等の概念を用いて記述しようとしています。
 こうしたフッサールの議論を再構成し、その限界がどこにあったかを突き止め、そこからさらに思索を深めるのは、とても有意義なことだと思います。なぜなら、それによって、他者に出会うという一見すると月並みな経験が、実際にはとても不思議なものであることに気づくことができるからです。近いような遠いような、そのような捉えどころのない「他者」について考えるために、現象学的なアプローチが有効だというわけです。そして、このような現象学的他者論は、「客観的世界」や「道徳」や「コミュニケーション」の成り立ちを説明するための手がかりも与えてくれます。