ソウ ズイリン
曹 瑞林
CAO Ruilin
所属 国際教育推進機構
職名 教授
言語種別 日本語
研究概要 中国の経済発展と税財政の構造及び地方財政

中国の改革開放政策が実施されて30年が経過した。中国の経済は目覚しい成長を遂げるとともに、中国の社会、人々の生活、意識、価値観も大きく変化している。90年代以降、中国の社会主義市場経済の目標が一層明確になった。1994年の国有企業や金融の改革とともに財政や税制の改革はこれに沿ったものである。

1995年から2004年までの9年間、中国の市場経済化と税制改革について重点的に研究を行ってきた。この間、これに関連する8編の論文を公表し、学会報告を3回行った。2004年にこれらを基礎に『現代中国税制の研究(お茶の水書房)』を公刊した。本書の出版に際して日本学術振興会2004年度科学研究費補助金「研究成果公開促進費(学術図書)」の交付を受けることができた。この研究で立命館大学から経済学博士の学位を授与された。

本書の特徴は日本を中心に国際的な財政学研究の成果を摂取し、税体系と市場経済化との関連を解明したことである。また付加価値税(増値税)、サービス消費税(営業税)、企業所得税、個人所得税など主要税について日本を含む先進工業国の税制と比較して中国の税制の問題点、過渡的性格やその根拠を総括し、今後の改革課題を提示した。また地方税について中国東北部、計画単列都市を素材に分析した。

今日の中国税制は、計画経済から市場経済への移行国税制の典型事例であるとともに、発展途上国としての特徴を濃厚に持つ。この研究は移行国、途上国の税制研究に貢献するだけでなく、中国の市場経済への移行や経済システムの特質を理解するうえで重要な意義を持つ。
近年、中国の市場経済の進展、経済の高度成長とともに、地域間格差、所得格差、社会保障、公共サービスなど国民生活と関連する経済的、社会的問題が現れてきた。これらの問題を解決するうえで財政、とくに地方財政の役割はきわめて大きい。

地方財政はグローバル化する地域の経済や産業の発展と密接な関係がある。2005年以来、地域経済と地方財政の相互関係、中央・地方政府間の財政関係に着目している。この間、毎年中国遼寧省、大連地域を中心に研究調査と交流を行っている。具体的な研究課題は、①東部沿海地域と内陸地域の省級政府の財政、②省級地区ミニマムの提起、③中国大都市(大連)地域の基本医療保障、④農村義務教育とその財政、である。この研究の成果を日中の学会で報告し学術誌に投稿している。

中国の税制、地方財政の研究において資本主義国の税制や財政との比較によって中国的特徴を深く解明できたといえる。またこれらの研究は教育内容を一層豊にすることにとても役立っている。