チョ サンウ
趙 相宇
CHO Sangwoo
所属 産業社会学部 現代社会学科
職名 助教
言語種別 日本語
タイトル 「良い答え」ではく、「良い問い」を見出すための歴史社会学
メッセージ 歴史を学ぶことは、過去のことを知り、その現在とのつながりや未来への展望を考える上で重要なことです。しかし、過去を知ることが必ずしもその歴史や今を理解することにつながるわけではありません。理解に必要なのは、「知る」ことよりも、「問いかける」ことではないでしょうか。
 日韓の歴史認識論争は、よく新聞・テレビなどでも報じられておりますし、近年はYouTubeなどでも手軽に接することのできるテーマです。そこで私たちは絶えず歴史の知識に触れておりますし、日韓が植民地支配をめぐっていかに対立しているのかを強く印象づけられます。では、私たちは、日韓歴史認識問題を理解しているのでしょうか。韓国は「反日」だから日本と歴史問題で争い、台湾は「親日」だから日本との歴史問題が目立たないのでしょうか。
 上記の説明は一般に最もらしい「常識」として流通しておりますが、そもそもの問題として何をもって「反日」や「親日」と規定するのか定かではありませんし、それらは何かを説明している気になるマジックワードに過ぎません。そこに「答え」を見出そうとすればするほど、日韓関係は益々理解不能なものになってしまうでしょう。大事なのは、仲が悪いのか良いのか、「反日」か「親日」かではなく、その枠組み自体を疑ってみる態度ではないでしょうか。
 韓国では、植民地支配を悪いものとして捉える一方で日本の大衆文化を楽しむ人も多いですし、近年では、植民地時代に形成された韓国国内における日本的な風景が「どこか懐かしい」観光地として脚光を浴びたこともあります。面白いことに、それらの観光地では、抗日運動の歴史も強調されており、「反日」か「親日」か、そのどちらにも当てはまらない現象が起きています。このような社会現象を既存の知識に当てはめて批判したり、理解不能な矛盾として片付けたりするのではなく、なぜ・いつ・どのようにを問いかけることが歴史を理解することにつながっていくでしょう。思考をめぐらせて鋭い問いを発せられてはじめて何かを理解する土台に立つことができると私は考えており、私自身も日々苦心しながら「良い答え」ではなく、「良い問い」を探っております。